伝えたい

4/7
前へ
/16ページ
次へ
中庭に出た。 「うわっ、寒っ」 あまりの寒さに、はおっただけのコートの前を閉めた。 息が白いのは当然だが、凍ってしまいそうなくらい。 人が歩いた跡もない、真っ白な中庭はいつもと違って、神秘的に見える。 「梓、雪だるま作ろう」 子供は風の子なんて言うけど、光宣にはその言葉がピッタリ。 その元気良さに苦笑いしながら、梓が返事をする。 『……出来たぁ!』 胴体の丸い雪の塊に、少し小さい位の塊を乗せた。 それに、石や木などで目や鼻、口、腕をつけて完成。 綺麗とは言えない、雪だるまだ。 それでも、二人で作ったのだから何となく愛着がもてる。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2097人が本棚に入れています
本棚に追加