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陵海は部屋の外に出て、片手で扉を閉めた。
「燎斗、聞かせてもらおうか?俺らの時間をとったんだからな」
少々冷ややかな瞳を燎斗に向けてはいるが、奥には面白がっている様な色がある。
その瞳を正面から受けて、燎斗は少し話すのを躊躇った。
「……あぁ。百合、居るんだろ?」
燎斗はクイッと、顎で今まで百合達が居た部屋を指す。
「もちろん。俺も宝珠も、すっごい迷惑してる」
不機嫌そうに、陵海が言う。
「いや、それは悪かったけど」
「で、燎斗は百合に何したんだよ」
何時まで経っても、本題に入らない燎斗に痺れをきらして、話題を戻す。
「……分からない」
少しの沈黙の後、燎斗は気まずそうに、そう言った。
「お前が、怒らせたんじゃねえの?」
不思議に思い、眉を寄せて聞いた。
「まぁ、そうなるだろう。……だが、怒ってる理由がさっぱり」
諦めたともとれる、表情を浮かべながら燎斗は言う。
その表情と言葉に溜め息をつきながら、陵海が言った。
「百合が怒ったまでの出来事、全部聞かせろ」
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