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「ちょっと、陵海!」
閉められた扉に向かって叫ぶが、声は届かない。
それに気付いて、百合は黙り、深く溜め息をついた。
「百合」
後ろから名前を呼ばれて、振り向く。
声で分かっていたが、燎斗がいた。
「……何?」
明らかに、不機嫌だと言わんばかりに百合は返した。
「えっと……ちゃんと好きだから」
ボソボソッと、いつにも増して低い声で呟く様にして燎斗が言った。
「えっ?」
突然言われた言葉に、頭がついていけずに ただ驚く。
だが、それもただの一瞬で、満足そうな満面の笑みを浮かべた百合が燎斗に抱きついた。
燎斗は、少し驚きながらも背中に手を回して、百合を抱きしめる。
それから、二人は甘いキスを交した。
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