記憶から消えた人

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《なぁ、弥恵。クリスマスに大事な話があるんだ♪》 《今は駄目なの?》 《うん、絶対クリスマスの日》  クリスマスが近付くと見る夢、2年位前から見る夢。  原因は3年前のクリスマスイブにあるらしいけど、覚えていない。  あの男性は、誰なんだろう? 「お母さ~ん、どうして起こしてくれなかったのよ?」 「起こしたわよ、何度も」  いつもと変わらない毎日、私は会社に行く時間前に目を覚まし慌てていた。 「朝御飯は?」 「要らない。途中のコンビニで何か買って会社で食べる」  私の頭には電車に乗り遅れないことしか無かった。  これも変な夢のせいだ。 「きゃっ!ごめんなさい急いでいるので」  曲がり角で人とぶつかりそうになったが避けた。 「……」 「あら弥恵ちゃん、おはよう♪」 「おはよう♪犬の散歩頑張ってね」  すれ違いに近所のオバサンと挨拶をした。  ここで会うなら走りきれば充分間に合うかな? 「いつも元気ね弥恵ちゃんは♪」 「ちょっと奥さんっ!」  散歩のオバサンが家の前で掃除していたオバサンの会話を男性を指差して止めた。 「……」
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