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明日香の病室の前には、明日香の家族が居て、僕に
「部屋に入ってくれ」
と頼んだ。
言われるままに、病室内に明日香のご家族と一緒に入り、明日香に近づき声をかける
「………明日香……………。」
僕が名前を呼ぶと明日香は弱々しく目を開ける
涙が出そうになった
僕を見て、
ふっと笑ってくれた。
けど、もういつもの輝くような、元気さを感じる微笑みでは無かった
「…………――君
外に………、
雪が見たい………
連れて行って。」
明日香はただそれだけを言い、僕は困り果てて振り返ると、明日香のご両親が僕を見て頷いた
『連れて行ってやってくれ』
そう無言で言っていた
彼女を連れ出した僕は、無理矢理笑顔のままで居て、彼女も無理矢理に雪の降る場所で、幻想的に立っている
やがて、
「疲れた」
と言って、彼女がベンチに座り、僕が隣に腰掛ける
「…………あったかいね……。」
僕に寄り添って、明日香は呟く。
「――君に逢えて、
私、凄く幸せだった………。」
彼女が必死に僕に話しかけてるのに、僕はずっと黙ったままでいた
何を話せば良いのか分からず、自分の中から溢れるモノを抑えるのに精一杯で
「ずっと…………
一緒に居たかった。」
彼女のその一言で、
僕の中から溢れるモノが止められなくなり、溢れ出す
「あのね……………
私、思ったの
沢山の人に……………………」
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