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「着いたな…」
ビルの地下三階にある、管制室の大きな扉の前で、夏芽は大きなため息をついた。勿論それはこれからやる仕事への緊張などではなくて…
「もう…ホントにヤなんだってばー」
という文句に延々と付き合わされていたからだった。「あぁ、もう…いい加減にしろっっ!!」
我慢も限界だったのか、夏芽はいつまでもごねている往生際の悪い少女を蹴り飛ばした。
「っわ!!…いったーい!なにすんの!!」
「…お前に文句言う権利があるとでも思っているのか?」
冷やかな眼で睨まれて、華南は口を閉ざした。
「ったく……」
静かになったところで、管制室に入るために、夏芽が扉近くにあるセンサーのようなものに近付いて行くと…
「あのさぁ…」
と声をかけられた。
「…何だ?」
夏芽が不機嫌な様子を隠すことなくそういうと
「勘違いしないでよ!?もう文句とかじゃないから!!」華南は身の安全のために言葉を発した。
「裏にいるやつらって…誰?」
「知るかそんなこと。それを調べるのが今回の仕事だとさっき…おっ開いた」
ロックが解除され、開いた扉の奥にコンピューターだらけの空間が、真っ暗な中でもよく見えた
「さて、と…行くか。とにかく確かめてみないことにはな」
「…そだね」
こうして二人は暗闇に覆われた管制室へと足を踏み入れたのだった
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