第一章 出会い

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「どうでしたか、紫音(シオン)?」 二人のいた会社からおよそ2kmほど離れたビルの最上階で、男の声が静かに響いていた 「外見は問題無し。性格は…俺的にはアウト」 「そんなことを訊いているんじゃありませんよ」 入口付近の影から遠回しの叱責があがり、紫音と呼ばれた男は改めて報告する 「能力は、まだ本気を見てないからなんとも言えないけど…」 「…けど?」 最後の言葉が引っかかり男はただ先を促す。そして紫音は数秒後、楽しげな声で呟いた。 「久しぶりにおもいっきり楽しめそうだな」 顔には獣の笑みを浮かべながら。 「やれやれ…」 途端に男は表情を無くし、低い声で呟いた 「まあこれで…炙り出せればいいんですが」 「出せれば、じゃなくて、出すんだよ」 自信を込めた言葉。そして自分にさえ聞こえないほど小さな声で、呟く 「それにしても、あの声…どっかで聞いた気がすんだよな…気のせいか?」
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