『 サンタさんの過酷な一日 』

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まずは…絵美ちゃんの家だな。 プレゼントの袋を引きずるように担ぎながら、私は近くの駅に入った。 ソリが使えないのなら、とりあえず電車にでも乗って…。 ん?なんだコレは。 何故私を通してくれない。 「あー…ちょっと待って、そこのお客さん。切符買ってくんなきゃ入れないよ?」 「私はサンタだ。お金なんて持ってるわけないだろう」 「……そんなコスプレするのは勝手だけど、お金がないと電車には乗れないんですよ」 「…な、なんだと………」 無理矢理通過しようとした私は、結局取り押さえられ…追い返されてしまった。 「サンタに対してなんなんだ、あいつらは。幼い頃は皆あんなに純粋だったと言うに……」 仕方なく、私は雪の積もっている歩道をトボトボ歩いて向かうしかなかった。 重い荷物は、老体に堪えるなぁ。
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