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6件目のプレゼント。
まさき君の家は…もう少し先だな。
イルミネーションの輝く街を歩いていると、何かの看板を持ったサンタ服を見つけた。
「クリスマスケーキいかがですかぁ!」
おぉ、同志とこんな場所で会えるなんて。
しかし…この地区担当は私だけのはずなんだが……。
「やぁ、実は困ったことになってしまってな…」
きっと私のハプニングに気付いて、緊急に派遣されたんだろう。
本来なら一人でやらなければならない仕事だけれど…とりあえず今は、急いで配らなければならないんだ。
「……オッサン、誰?」
む、先輩サンタにいきなりオッサン…だと?
「余所の店の宣伝なら、他でやってくれよ。追い込み忙しいんだからさ」
舌打ちをしながらそのサンタは続けた。
宣伝とは…何の事だ。
「訳の分からない事を言ってないで手伝ってくれ。トナカイがなくてはソリが…」
「あ、お客様。ただいまクリスマスケーキのスペシャルセールをしておりまして」
シッシッと私に向けて『あっち行け』のジェスチャー。
……なんという世の中になってしまったんだ。
ふと、時計に目をやる。
こんなことをしている間も、時間は容赦なく進んでいた。
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