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僕が化粧を落とそうとしたら白河先輩が止めた。
「ちょっと待ってくれ!」
「なんですか?」
「悪いが、今日一日とは言わないがその格好のままでいてくれないか?」
「え、なんでですか?」
「それは、会長が見つかればそれでいいんだが、まだ見つかっていない。校内の生徒達が混乱する恐れがある」
「そんなの僕には関係ないじゃないですか?」
そういうと、片霧先輩が1枚の紙を出した。
「ですけど、その格好のついでですから、もし今日一日だけ、いや、これからこのようなことがあったら代役をやってもらうかもしれません。これからもやっていただくのであれば学費免除という形をとらせていただけますよ」
その紙は契約書だった。
僕がスピーチしている間に作ったものであることは一目瞭然だった。
「そんなこと生徒ができるんですか?」
「えぇできますよ。なぜなら宮上麗華様はこの学園の学園長の一人娘ですからね」
「少し考えさせてください。まだ今日、入学してこれからはじまる高校ライフの2/3ぐらいを女装して過ごすなんて男なら少しっていうかだいぶ抵抗ありますよ」
「ええ、構わなくてよ。何日でもお待ちしますわ。よい返事をお待ちします」
「それで、今日はこれから何をすればいいんですか?」
「そうだな、まあとりあえずはまだすることはない。楽にしていろ」
1時間後、片霧先輩と白河先輩が入ってきた。
「見つかったんですか?」
「いやまだだ、今から会議があるのに…」
わざとらしくこちらをチラチラ見てくる。多分、いや絶対に、会議に出ろという合図だろう。
「わかりましたよ。出ればいいんでしょ?出れば」
「まだなにも言っていないが?」
わざとらしくしかも棒読み答える、白河先輩、その隣で怪しく笑う片霧先輩。
「狙っていたくせに、よく言いますよ。こっちのほうわざとらしく見てるんですから」
「本当に、白河さんは嘘が下手ですわね」
「ははは、そうか?」
「そうですよ。で、次は何をやればいいんですか?」
「そうだな…次は座っているだけでいい」
「話すことはないんですか?」
「用件はだいたい私達が話しますから大丈夫ですわ」
「そんなものなんですか?」
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