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車窓からは昼間も低飛行している冬の陽の光が射し込んでいる。
午前10時。
通勤ラッシュを過ぎた電車内は落ち着きを取り戻し、車内の主役は老人か主婦といったところだ。
しかしそんなのどかな静寂は、男の子のパタパタと走り回る足音によって壊された。
その男の子は短い手足を素早く動かして走り、興奮した様子で指を指しながら言った。
「あっちの車両は前が見えるよ!」
すると一人の母親らしき女性はその男の子の腕を掴むと、席を立ちドアの前に移動した。
そしてしゃがみこんで男の子の目線と合わせるようにすると話始めた。
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