脱走

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「……ん……。」 俺は体の痛みで目を覚ました。 …違和感。 俺はそんなものを感じた。 いつもなら、真っ先に灰色のコンクリートが目に入る。 でも、今…目の前にあるのは、焦げ茶色の天井。 …木、だろうか。 そして何より、俺が寝ている場所。 冷たいコンクリートじゃない。 暖かくて、柔らかい。 こんな所で俺は眠ったことがあるだろうか…。 「あ、よかった! 起きたんですね!」 俺の側で、優しい声がした。 見ると、俺よりも少し年上の…25歳くらいだろうか。 そのくらいの、眼鏡を掛けた物腰の静かそうな青年が俺を見ていた。 「貴方、酷い怪我で…、この辺りに倒れていたんですよ。」 「それで、俺を…?」 「ええ…。 酷い状況でしたから。」 俺が…、大怪我…。
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