消えた記憶

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  病室のドアをノックして部屋に入ると陸がいた。     ベッドに座りぼんやりと窓の外を見ている。     『陸ぅ~っ!』     おもわず駆け寄る亜美。     陸は不思議そうな顔をして     『…どなたですか?』  と言った。     亜美は言葉を失う。     『陸、亜美がわかんないの?』     奈央も驚きを隠せない。     『うん…。 医者が言うには 高校に入ってからの記憶が全部なくなってるらしい。』     陸と誠と奈央は 同中出身だ。     陸は誠と奈央のことは覚えている様子だった。     『こうゆうことって実際あるんだな…』     そう呟いた 陸の左手には   はめられたままの リングが 哀しそうに光っていた。    
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