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僕達は一目散に逃げた。土門君は後ろ向きですごい早さで走っている。僕も必死に走っていた。でも加納君の姿が見えない。まさかと思い、僕は後ろを見た。案の定加納君は水に浮かんでいた。無表情に。いやむしろ満足げに。
僕らは足を止めた。あのでかい怪獣の姿が変わっている。ちょっと可愛いと思っていたペンギンっぽいそれは、うちのクラスの和田アキ子的存在、ビック良子先輩そっくりになっていたのだ。
女子高生にして身長が二メートル近くある柔道部の彼女は、神に一番近い存在として恐れられている。
そんなビック良子先輩から逃げられるはずもないと悟った僕らは、加納君と共に水に浮かんだ。
そして僕は汗だくで目覚めた。股間のあたりが一番濡れていたのは言うまでもない。
次の日、校門のあたりで、いきさつはわからないが、ビック良子先輩に土門君がぶん投げられていた。
また何か歌っていたんだろう。
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