カフカ

クラス盗聴

今日は静かにしていたい気分だったので、息をする事以外極力身体を使わない事にした。

クラスの女子達の中身の無い会話が鼻につく。「電車でー、前に座ってた人が、まじちょー禿げててー、まじウケたんだけどー！」「まじやばい。ちょーウケるー」僕に時間を止める力があれば…、やつらを恥ずかしい格好にして縛り上げるくらいはするのに。僕に能力が無い事を神様に感謝しな。

僕の結構タイプな美希ちゃんも友達と話している。僕はそちらに全聴覚を集中させた。いや、五感を全て働かせた。
かすかに「ろうそく」という単語が聞き取れた。僕には卑猥なワードとして登録されているそれは、想像力を無限にかきたてた。しかしここは学校。お楽しみは家まで取って置くとしよう。待っとけよ美希。ふはははは。
再度僕は美希ちゃんの方に、第六感までをも研ぎ澄ました。

次に聞こえてきたのは、「魑魅魍魎」
なんと偏った言葉。僕なんて五年に一度使うか使わないかという単語だ。