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ってことで、俺の出身校がバレバレだな!
まあ、いいか。
タクローの第一印象はな!
暗い奴、だったんだよなー。
そんなタクローに向かって、俺は言ったね!
「俺に何の用だ?」
多分、そん時の俺は、相当、おっかねー顔してたはずだ。
なのに、タクローは微動だにしなかったな。
そして、タクローは意表を突く言葉を発した。
「藤城さんの屋上ライブ見ましたよ。俺とバンド組みませんか?」
「なっ?バンドー!おまえと?」
「ええ、藤城さんにボーカルやってほしいんです」
期待外れのタクローの言葉に、俺は唖然とした。
「おいおいおい!俺は、もうバンドやってんだよ!かけ持ちなんて、仲間を裏切るよーな真似出来るかよ!」
すかさず、タクローが切り返す。
「じゃあ、俺を藤城さんのバンドに入れて下さいよ!ツインギターでも、バンドは成り立ちますよね!」
「ツ、ツインギター・・?」
ツインギター・・、かっこいいじゃねーか!
コイツ、俺様が横文字に弱えーの知ってやがんのか?
ツインギターライブの妄想で、ニヤニヤしてる俺に、タクローは更に追い討ちをかける。
「今度、バンドの練習いつですか?」
もちろん、テキトーにやってるバンドだから、次の練習日なんて決まってるはずがねー。
しかし、ツインギターという言葉に取り憑かれている俺は、咄嗟にこう答えた。
「お、おう、練習か?練習はな、あっ、そうだ!今日だよ!今日!危ねー!大事な練習を忘れるとこだったよー!おまえのお陰で思い出したよ!」
と、思わず嘘ついちまったんだよ!
親に嘘だけはつくなと言われて、早17年。
人様に嘘をついちまったー、としょぼくれてる俺とは対照的に、タクローは、満面の笑みを浮かべて言った。
「今日ですか?俺も行きます!」
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