GLAYのタクローと過ごした日々

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あの日以来、俺らは変わった! ただ一人、ギターの奴を抜かして・・だけどな。 ギターの奴だけは、バンドを脱退しちまったよ。 まあ、アレだろーな! 身を退いた感じだよな! 同じギターで、あれだけレベルの違いを見せつけられたから、自信を失ったんだろーな。 それからというもの、俺らのバンド練習は日課になった。 一日に8時間、練習したこともあった! いつからか、俺にとって、このバンドが、かけがえのないものに変わっていったんだ。 タクローは、というと、バンドを3つもかけ持ちしてたから、相当、ハードスケジュールだったんじゃねーかな? だけど、タクローは弱音一つ吐かなかった! 今思うと、アイツは、心底、音楽を愛してたんだろーな! 俺らのバンドは、日に日に成長していった! ライブも次々にこなした! バンドのファンもどんどん増えた! とにかく、充実した日々だったんだよ! そんなある日、バンド練習の帰りに、俺はタクローにある質問を投げかけた。 「よー、タクロー!前から聞きたかったんだけどよー、何で俺とバンド組もうと思ったんだよ?」 タクローは、静かに口を開いた。 「声です」 「はっ?声?」 「ええ。初めて藤城さんの声を聞いた時、俺、体が痺れたんです。はっきり言って、歌はまだまだ未完成だった。けど、俺の描く理想の声になるはずだ。そう確信したんです」 嬉しかったね! 俺は、その言葉を聞いて、ますますやる気になったよ! ただ、その時は、まだ気付いていなかったんだ。 タクローの見ている先が何処なのか?を・・。 タクローは、俺らなんかが想像もつかねーような遥か遠くを見ていたんだ。 卒業を3ヶ月後に控えた冬の寒い日、タクローが言ったあの一言で、俺はタクローのドデカイ夢を知ることになる。
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