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冒頭でも、少し触れたけどよー、タクローは俺のイッコ下なんだよな。
今、考えると、アイツも行動力あるよな!
わざわざ、3年の俺の教室まで来たんだからな!
そんなある日、練習の帰りに、タクローが家に寄りたいって言ったんだよ!
俺は、気軽にオーケーしたね。
いつも俺んちには、勝手に上がりこんでるダチが、2、3人はいるんだけどよー、その日は珍しく誰もいなかった。
しばらく、バンドや音楽のことを、2人で熱く語ってたんだけどな。
不意に、タクローが投げかけた言葉で、俺は、一瞬、固まっちまった。
「藤城さん、俺が卒業したら、一緒に東京行きませんか?」
意表をつくタクローの言葉に俺は
「東京?何しに?」
と、全く、タクローの言葉の意味を理解してなかったんだ。
「東京行って、メジャーデビューするんですよ!それが、俺の夢なんです!」
「メジャーデビュー?タクロー、それは、難しいだろー!それに、俺、卒業したら、やりてーことがあんだよ!」
「難しいかもしれないけど、やってみなきゃわかんないじゃないですかー!!」
俺は、その時、初めてタクローの叫びを聞いたね。
そんなタクローの叫びにも、俺の答えは変わんなかったんだ。
「タクロー、ワリーけど、俺もやりてーこと、あんだよ。ワリーな・・・」
「そうですか・・・」
夢は叶うと信じていたタクローと、最初から諦めてた俺・・・。
やりてーことがあったのは、本当だったんだよ!
だけど、実際は怖かっただけなのかもしれねー!
怖いってのは、東京行っても、メジャーデビューできねーんじゃねーかってゆー怖さじゃなくて、俺にタクローの思いを背負えるのかってゆー怖さね。
俺は臆病な男だったのかもしれねーな!
その後、俺らとタクローのバンドは解散しちまったんだ・・。
それから、2ヶ月後、俺らの高校では、卒業間近に、3年生を送る催し会ってゆーのがあってよー。
タクローも2年バンドで演奏したんだけどなー。
そこでも、又、ドラマが起こるワケよ!
あん時のことは、未だに忘れらんねー想い出の一つだな!
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