16人が本棚に入れています
本棚に追加
「優亜(ゆあ)~!」
着替えてる優を呼ぶ店長の声。
「はいっ?」
着替えもそこそこに少し刺のある声でそれに答える。
「着替え中だったか。悪かったな。お前、今年はシングルクリスマスか?」
「そうですよ!それが何か!?」
余計なお世話!と少しキレ気味に吐き捨てた。
「じゃあ、優亜は出勤確定な。」
「わっかんないよ?クリスマスまでに彼氏できちゃうかもしれないしぃ」
盛大にあっかんべーをしながら更衣室に戻る。
そんな優を見ながら(こりゃ、まだまだ先の話だな)と口の端をあげる。
「出勤したらケーキくらい買ってやるから」
「本当!?」
目をキラキラさせて食いつく優。
(…本当、扱いやすい奴。)
くすりと笑みがこぼれる。
「っていうか、店長こそシングル・クリスマスなんじゃないですか?」
うりうりと肘で背中をこづく。
「残念だが、クリスマスは稼ぎ時だからな」
「クリスマス出勤できる奴は当日と今から飯おごっちゃる」
「やったぁ」
無邪気に跳びはねる優。
「愛子も出勤するよね?」
愛子と呼ばれた女の子は優が今、お店で1番仲のいい友達。
「…うん」
「あっ!でも愛子は彼氏いたよね…いいの?」
愛子の表情が一瞬強張る。
(やば…地雷踏んだ!?)
と一瞬焦ったが、予想外に愛子はにっこりと笑って
「いいの。私もシングルベルになると思うから。」
とこともなげにさらっと答えた。
最初のコメントを投稿しよう!