16人が本棚に入れています
本棚に追加
優がトイレに行こうと立ち上がったら愛子も
「私も」
とついてきた。いわゆる連れションというやつだ。
用が終わり手を洗っていたら洗面台の前に立っていた愛子が化粧を軽く直しながら
「で、最近何か進展はあったの?」
「え~ないよ。別に店長のことなんか好きじゃないし~」
「嘘ばっかり!言わないとくすぐるからね」
手をわきわきと動かしながら近づいてくる愛子に少し怯んだが
「本当に好きとかじゃないもん」
(ただ少し気になるだけ)
というのは心の奥に押し込めて。
トイレの中まで有線が流れていてクリスマス・ソングが流れる。
愛子は深い、深い溜め息をこぼす。
「愛子こそ類君はどうしたのよ?」
「…二股かけられてた」
やっぱり聞くんじゃなかった。トイレいっぱいに重い空気が満ちる。
「…ごめん。戻ろっか。あんまり遅いとうんこか?とか言いかねない人がいるから」
重い空気に耐え兼ねて優はトイレのドアを開けた。
最初のコメントを投稿しよう!