1:君の瞳に・・・

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「今年もシングルクリスマス、かぁ~……」 ……と、嘆いたところで彼女が急にできる訳じゃないのは解ってる。 だけど、やっぱり空しい。  某有名歌手のあの曲がテレビに流れ出したら、否応無しに孤独感に苛まれるのは、恋人が居ない人なら誰だって同じだと思うけどね~(*ため息*) 「ようっ☆ 相変わらず湿気た顔(つら)してるねぇ、目黒瞳君っ」  だが、それが当てはまらない連中が存在しているのは確かだ。 ……例えば、今ノーテンキに声をかけてきたコイツ。 吉川太助は彼女いない歴が俺とあんまり変わらないのに、この時期になると、何故か妙にテンションが上がるという、特殊な男だ。 「・・・特殊な男で悪かったな(汗)」  特殊な男だけに、俺が考えていることが解るらしい。 ・・・ちょっとキモイな。 「‘ちょっとキモイな’じゃねえ! 口に出して喋ってりゃ、誰だって解るわいっ!」 「あはは。わりぃ。 まあ、そう怒るなって。」 ……まあ、とりあえず俺はさらりと太助をなだめるつもりで頭を撫でておいた。 「・・・ったく。 顔は下手な女子より可愛いくせによ~。なんでそんな性格してんだろーな、お前は」 と、言いつつ、頭を撫でられている事にはツッコミを入れないあたり・・・彼女いない歴の長いことを物語っている……かもしれず(苦笑) まあ、悪友とはいえ、俺はコイツが嫌いじゃない。 何かと気が合うから、いつも一緒にいる事の方が多いしね。
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