過去の愛

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「呼びたくないわけではないんだ。」 帰りのバスの中、彼が話し出した。 「ケンジに冷やかされるだろうし、その……人前では………」 やっぱり硬派なのかもしれない。 「私だって………呼んでないもん………」 「呼びにくいか?」 彼は、やはり呼ばれたいのだろうか………。 「実は、ずっと見てたの………知ってたんだ。でも、俺じゃなくて他のヤツだと思ってたから…」 ……見てたの気付いてたのね…………。 「だから、いないと思うと……」 ………思うと、何?何? ひと呼吸ついた彼の口から信じられない言葉を聞いた。
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