イジメの始まり

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由美…六歳 幼稚園の大きい組さん。 いつもの朝。 ちょっとのんびりしてしまった由美は、お迎えのバスに乗り遅れた。 百合子は健に「単車で由美を幼稚園まで連れていってほしい」と頼む。 健は快く「良いよ」と笑顔で返事する。 健は由美を単車の後ろに乗せる。百合子は「いってらっしゃい」と手を振りながら単車が見えなくなるまで手を振っている。 百合子から単車が見えなくなった時、健が単車を止めた。 「由美!降りろ!」 由美は訳も分からず単車を降りた。 すると健は、由美を下ろしたまま単車を走らせた。 「由美!着いてこい!幼稚園まで走れ!」 由美はまだ六歳。単車でも15分はかかる場所に幼稚園はある。 六歳の子がどんなに一生懸命走っても、休憩しながら一時間はかかる。 遅刻は確実だ。 由美は一生懸命、泣きながら単車を追い掛ける。 涙で前が見えないが、遅刻したくない一心で走る。 健がチラッと振り返った。その時、由美は見た。 健はニヤッと笑っていたのだ。 この日から、健は「由美は俺が単車で幼稚園まで送っていくよ」と毎日のように由美を走らせた。 百合子は何も知らない。 しかし、幼稚園の先生が毎日のように遅刻する由美を心配し百合子に連絡し事情を聞く。 百合子は初めて由美が毎日走らされていたのを知り、健を問い詰めた。 すると健は、百合子を殴り「うるさい!走らせて何が悪い!」と開き直ったのだ。 百合子は、健を警戒するようになる。 由美もまた、「血が繋がってないからだ。本当の娘じゃないからこんなイジメをするんだ」と強く思うようになる。 幼稚園でも笑わなくなり、自分の殻に閉じこもるようになっていった。 健のイジメは益々エスカレートしていくのだ。 それが由美を変えていく。
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