イジメから虐待へ

2/2
757人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
百合子は昼間、お客様とお茶をしたり家を空けることが多かった。 日曜日や幼稚園が午前中で終わる時。一歳の孝志、健、由美と三人になる事が多かった。 由美は暗いとこが大嫌い。それを知ってる健は、由美を押し入れに閉じ込めたりするのを楽しんでいた。 家の柱にククリ付けられ、身動きとれないようにもされた。 孝志はまだ一歳なので、由美が1人で夜にお守りするのは無理な話。 だから、健が店の途中に一時間おきくらい家に様子見に来ていた。 健は由美を、玄関外に放り出し一時間後に自分が家に帰ってくるまで置き去りにした。 泣きじゃくる由美を見て、ストレス解消にしていたのだろうか。 由美のアパートの前は墓地だったので、由美は怖くて目をつぶり震えていた。 墓地の墓石に、くくられた事もあった。 ある日、また百合子が不在の時だ。 由美の泣き声がいつもより激しい。 由美が些細な事で健の機嫌を損ねたらしく、健は血相をかえてズボンからベルトを抜き取ると由美をシバキあげた。 「柱にまっすぐ立て!動くな!」 ベルトを由美に振り上げる。 由美は痛さと怖さで、しゃっくりが付くほど泣いている。 百合子は、由美の様子がおかしいと思い出す。 身体にアオタンをつくり、傷もある。 いつも目は腫れて真っ赤になっている。 健の顔色をみて、ビクビクしている。 健は、百合子の前でも機嫌が悪いと由美を叩いた。 百合子が止めると、益々エスカレートして由美を蹴り殴る。 いつしか百合子は、健を止めなくなった。 止めるとヒドクなるからだ。 しかし由美は、「どしてママは助けてくれないの…痛いよ…怖いよ…ママ…」 「私は家族じゃない…血が繋がってないから。パパとママ、孝志が本当の家族で私は要らない子なんだ」 どんどん由美は卑屈になっていく。 いつしか百合子に対しても心を閉じてしまった。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!