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健が変わる…その理由
ここは百合子が働くクラブである。
27歳の百合子は、21歳の時からこのクラブの雇われママだ。
自分より遥かに先輩の人達を30人近く仕切って店を切り盛りしていた。
自分のノルマも当たり前だが、店の売り上げもノルマがあった。
当時のお水の世界は、店が客を選べた時代。
万札がチップで乱れ飛び、ブランデーを一気に飲み干しただけで割りばしに挟んだ万札を頂ける時代だった。
百合子はいつものように接客中。
そこには明がいた。
出所して幹部になっていた。
健と結婚したことも全て知った上で、まだ百合子を愛していた。
割り切った友情のような関係で、売り上げ協力しながら百合子を支えていた。
健はと言うと…
百合子の働くクラブのビルで、別の店のチーフをしていた。
ある時、明を見送るために百合子はエレベーターでビルの下までお見送り。
そのエレベーターに偶々、健が買い物するために乗り込んできた。
属に言う、鉢合わせ。
百合子はやましい事をして居ないが、健は…
かなりの嫉妬心が沸き上がってくる自分の気持ちを押さえるのが必死だった。
実は、健には不快に思っていたことがあった。
由美は…明の子供ではないか?
健の心のなかに明への嫉妬が積み重なっていき、その矛先は由美に向けられたのだった。
百合子も。そして由美も壮絶な虐待を10数年見て経験することになる。
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