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「今日も寒いな。」
由羽は台所で朝ごはんを作っている千鶴に声をかけた。
「そうねぇ…今日は厚着して行った方が良いですねぇ」
人一番大人っぽい千鶴は皿にトーストを置きながら答えた。
「由羽~。そこの皿持ってって~」
葉月は後片付けをしながら由羽に言った。
皿を全てテーブルに置いて、食事を始める。
「「「いただきます」」」
そこに詩音の姿は無い。
また洗面器で溺れてるんだろうか……
「ぬぅ~………」
案の定。詩音は水浸しになっていた。
「お前も器用な奴だよなぁ…どうやったら洗面器で溺れるんだよ…」
由羽は呆れながら口にしたが、どうやらかんに触ったらしく、由羽の元に走って来て皿の上のハムを全部たいらげた。
「あぁ!俺のハムがぁ!!」
絶叫する由羽
「へへ~ん。詩音を馬鹿にしたらかだよ~だ。」
詩音はアッカンベーと舌をだして言った。
「詩音。溺れるの危ないから、今度から気をつけなさいよ?」
「ぬぅ……」
詩音は千鶴の言う事は聞く。
薄情な妹だよ…まったく…。
「由羽君、葉月ちゃん急がないと遅刻しちゃいますよ?」
千鶴の言葉をきっかけに、二人一斉に時計を見た。あと…7分…。
「由羽の馬鹿!なんで気付かないのよ!!」
葉月が焦りながらも由羽の背中に蹴りを入れる。
「っ痛!お前だって気付かなかったんだから連帯責任だろ!」
二人は喧嘩をしながらも仕度を終え、学校に向かって走り出した。
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