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隣にいた幼なじみは
僕を抱きしめ
涙を流しながら何かを言っている。
その時初めて知った。
自分が
撃たれた事を……
もう、彼女の言っている事も解らない。
ただ、彼女の目から
涙が流れている。
僕は最期の力を振り絞り。
ダンベルの様に重くなった腕をあげ
彼女の頬に手をそえる。
「……泣くなよ……せっかくのクリスマスに……御免な……」
これが精一杯の言葉だった。
もう…視界は暗くなりかけている。
空から舞い落ちる白い妖精も
痛みも
何も感じない。
「いや………やだよ……目を開けてよ!!死なないでよ!……………私を……一人にしないでよ………」
彼女の声が、微かに聞こえる。
「悪りぃ…もう…だめかも…お前だけは…幸せに生きて…く……」
もう、何も見えないし
口も動かない。
彼女の頬に添えた手が、力を失い地面に叩きつけられた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
12月24日
世界が最も幸せな日。
世界が最も神聖な日。
彼女の叫びと共に
僕は死んだ。
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