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チリリリリリリ……
いつもと変わらない目覚ましの音で朝を迎えた。
「ふぁぁ…今日は火曜日か…もう少し寝るか……」
俺は朝が苦手だ。
寝起きほど嫌いな物は無い。
それに、いつもと変わらない日常を、これ以上送りたくは無い。
ドンドンドンドン
俺の部屋のドアが叩かれている。
っというよりは…殴られているに近い音だ…。
「こらぁ!由羽(ゆう)!!うるさいのよ!早く止めなさぁぁぁい!!!」
今にも壊れそうなドアの向こうから、幼なじみの日高 葉月(ひだか はづき)の声が聞こえる。
ったく…朝から乱暴な事極まりない奴だ…
もう少し、『おしとやか』という言葉を覚えてもらいたい物だ。
っとか何とか思いながらも、目覚ましを止めて葉月が殴るドアを開ける。
「痛っ!」
ドアを開けた瞬間。
ドアを殴ろうとしていた葉月のパンチを額に受けてしまった。
「あっ……あ、私は悪く無いからね? 早く起きないあんたが悪いんだからね?!」
葉月が一歩後ろに下がりながら、額をおさえて座り込んでる由羽に吐き捨てた。
「痛みに耐えている幼なじみに、一番最初に言う言葉がそれか!!」
由羽が座りながら言うと
「……ごっ……ごめんな……さい……」
と小さな声で、モゴモゴさせながら葉月が答えた。
顔が少し赤くなってる様な気もするが、きっと気のせいだろう。
「あっ、詩音ちゃんを起こして来てよ。」
葉月はそう言うと、台所のあるリビングに向かっていった。
家の両親と葉月の両親は、これがまた無責任な親で、俺たちを残して世界中を駆け回っている。
だから、俺たちは4人で暮らしている。
俺と、家が隣だった幼なじみの葉月。
妹の詩音(しおん)と姉貴の千鶴(ちづる)だ。
さて、俺に似て朝に弱い妹でも起こしに行くか………
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