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由羽は詩音の部屋の前に立っていた。
……目覚ましの音が…聞こえない…
奴はついに目覚ましをかける事も辞めたのか…我が妹ながら天晴れ。
由羽はノックもせずにドアを開け、薄暗い部屋の中で、冬だというのに腹を出して寝ている妹の姿を発見した。
「他の男が見たら襲うだろうな…うん…」
俺はつくづく思う。
詩音は色んな意味で危ない。
由羽はとりあえず詩音を起こす事にした。
「起きろ~。遅刻するぞ~…。」
っとは言っている物の、絶対起きない事は今までの経験上よくわかっている。
仕方ない…か…
由羽は口元を詩音の所に持っていき、ふぅっと息をはく。
すると詩音の体がビクッと動く。
あともう一押しだ。
「詩音…起きてくれないか?目の前にいる王子様が行っちゃうぞ…」
かなり恥ずかしいセリフだが、これを言うと絶対に起きる。
ご…誤解するな!
姉貴に言われてやったら本当に起きたから毎回やってるだけだ!
全部俺が考えたんじゃ無いからな!
「あぁ!待ってぇ~!!」
毎回飽きずに同じリアクションするよな…お前…。
そして毎回俺に抱きつくな…
悪い気はしないけど…
「寝ぼけるな~」
由羽がそう言うと、わぁっ!と声を出して、詩音は由羽から離れた。
「レ…レディーの部屋に勝手に入らないでよ!!」
きっと照れているのだろう。毎回の事ながら顔を真っ赤にさせて詩音がむくれる。
「そーゆうのは自分で起きれる奴が言うもんだ。早く着替えてリビングに来いよ。」
由羽は詩音の頭を軽く叩いて、部屋を出た。
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