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「あの…私と付き合って下さい!」
「僕でよかったら…」
彼女の嬉しそうな顔が頭から離れなかった。
私はその様子を、科学室の窓から見ていた。
因みに、私は科学部ではない。
単にこの場所が好きで毎日来ているだけなのだ。
もちろん科学部は活動をしているので、邪魔にならないように窓際に座って…
「今日もまた1組のカップルが誕生したか…」
私はぽつりと漏らした。
「恵莉奈!」
私はいつものように科学部の部長の聡(さとし)に呼ばれた。
「…何?」
「今日も覗きに来たのか?」
聡はニヤニヤと笑っている。
「別に…」
私はいつものように軽く流す。
というか面倒臭くてもう反論する気も失せた。
覗くとかそういうんじゃない。
ただ私が見ている景色の中に女と男がいるだけのこと。
これが覗きになるんだろうか?
「イヤーン!恵莉奈のエッチ」
聡は顔を手で覆い隠す真似をする。
「…殴っていい?」
「暴力反対!」
聡は振り上げていた私の手を掴み、下に下ろした。
「もうっ!構わないでって言ってるでしょ!?」
私は手を払い退けた。正直ウザイ。
「はいはい。怒った顔も可愛いよ」
「このタラシが!硫酸でも飲んで死んじまえ!」
私はお気に入りの場所から立ち上がり、科学室を後にした。
あーイライラする。
私が何であそこに行くのか解ってないんだろうな。
「はぁ…」
私はため息をついた。
「聡の奴、明日は覚えてろよ!」
私は仕返しをする事にした。
その夜───
「…で待って、いますっと。でーきた!」
私は仕返しのため、聡をあの場所へ呼び出すことにした。
勿論手書きで一生懸命書いた。
「これで引っかかったら凄くない?フフッ」
私は笑いがこみ上げてきたが、途中で踏みとどまった。
だって!
明日の待ちぼうけ食らった聡の顔を見て、
思いっきり笑ってやるんだから!
こんなオイシイ仕返し、想像しただけでたまらないよ!
こみ上げてくる笑いを必死に堪え、眠りについた。
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