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あまりに早く来たのでやることがない。
時刻は7:30を回った所だった。
「あ~やることない!ゲームでも持ってこればよかった↓」
暇になることを想定しなかった私のミスである。
家を出るときにでも気付けば良かったのだが…
「…ってか聡、早すぎない?」
よく考えると変だ。
7:30前に登校するって明らかに怪しい。
私は聡を探しに校内を歩き回ることにした。
「・・・・・?」
とりあえず聡の教室を覗いてみるが、誰もいなかった。
「んー…他にいそうな場所は…あっ!」
私は思い出したかのように実習棟へ向かった。
聡は科学部だ。
科学室にいるに違いない!
私は実習棟まで走った。
そして実習棟内は忍び足で歩き、科学室へ向かった。
科学室前───
誰もいない科学室はどこか不気味で、どこか悲しげだ。
(カラカラカラ…)
ドアをゆっくり開ける。
「・・・・・」
私は声を押し殺す。
静かだ。
誰もいないようだった。
「ここにもおらん・・・」
「誰が?」
「ひっ!?」
背後からいきなり声が降ってきた。
私は驚きのあまり全身の力が抜け、床にへたり込んでしまった。
「大丈夫か?」
優しく差し出されたその手は聡のものだった。
「…聡…」
聡はにっこり微笑んでいた。
私は手を取り立ち上がると、聡を殴って科学室を出た。
「はぁ…はぁ…っ…はぁ…」
(ドキドキドキ…)
鼓動が早い。
私、どうしちゃったんだろう。
ドキドキが止まらない。
「ま…まさか…私っ…」
───聡が…好き…?───
「ないないない!」
私はスパッと切り捨てた。
これは走った直後だから、ドキドキしてるだけだ。
私はそう思い込んだ。
だって私は…
先輩…
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