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───1年前。
私は正門の所で派手に転けた。
スカートは捲れちゃって、鞄の中身もぶちまけちゃって…
(…最悪)
とりあえず私は起き上がり、ぶちまけた物をかき集めた。
「大丈夫かぁ?」
そう言って声をかけてくれたのは、先輩だった。
「あ…りがと…ございます」
私は顔を上げれなかった。
一目惚れだった。
先輩は「気を付けなよ」と言い、立ち上がった。
「…はい…」
後ろ姿で手を振りながら去って行く先輩を、私はとっさに呼び止めた。
「ぁ、あのっ!」
「須藤」
「ぇっ…」
「俺、須藤奏(すどうかなで)。またね恵莉奈ちゃん」
そういうと先輩は友達の所に戻って行った。
(───あれ?)
私は物を鞄に詰めながら気が付いた。
(───名前、言って無いよね?)
お腹いっぱいになった鞄を掴み、私は立ち上がった。
「…須藤…奏…先輩…」
そう、これが私と先輩の出会い…
私15歳の秋の事でした。
それから私は必死に勉強し、見事先輩と同じ高校に入学した。
「先輩には、どこで会えるかな…」
私は淡い期待を胸に歩き出した。
ふと壁に目を向けると、勧誘のチラシが所狭しと貼られていた。
「そういえば、何かに必ず属さないといけないんだよね」
私は人垣を掻き分け、最前列へ移動した。
「・・・・・」
バレー部、野球部、水泳部にブラバン、その他諸々…
部活の勧誘が多かった。
「・・・・・ん?」
私は1枚のチラシに目を向けた。
『第xx期 黒鷺会
あなたも、私達と一緒に
仕事をしませんか?
生徒会に入って、素敵な
学校を作りましょう!
↓↓募集↓↓
*議長 …1名
*書記 …1名
*黒鷺会役員 …3名
*委員会役員 …5名
*調査員 …2名
生徒会長 須藤奏』
「生徒会長っ!」
私は思わず声をあげてしまった。
「ぁっ…」
周りの視線が突き刺さる。
「ゴメンナサイっ」
私は小走りでその場を立ち去った。
「ぃ、いきなり来てしまった…」
私は生徒会室の前に立っていた。
───ドキドキ…
心臓の音がうるさい。
「ふー…」
と息を吐き、腹を決めて生徒会室のドアをノックした。
(───コンコン)
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