1.奇跡の始まり

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12月17日 月曜日  午前八時四十分 松宮高校2年4組教室‥ 「席につけ~!」 担任の鈴木が教室に入ってくる。 生徒たちはそれを合図にそれぞれの席に戻る。   全員の席を確認する鈴木。 二つだけ空いた席があった。 真ん中らへんの席と、もう一つは窓際の後ろから二番目だ。 「やっぱ東(あずま)は休みか..」 鈴木がため息混じりに呟く。   その頃、とある公園のブランコに座り込んでいる青年がいた。 服装は制服ではなくスウェット。 身長は170cmくらいで、やや童顔、やや長めの前髪をピンでとめて、上の髪は短めでツンツンだ。   「志穂‥やっぱ俺…」 青年が呟くと、後ろから女の子の声がする。 「やぁっと見つけたよ!!学校も行かず何やってんだ!?不良少年!!」 その声に驚き振り返る青年。 「志穂…?」 唖然とする青年に対して、女の子は平然としてそこに立っている。 そして女の子は、さっきの元気の良い声とは違った、静かで優しい声で呟いた。 「ただいま。里桜(りお)」
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