時間の始まり

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貴方は、サンタクロースを信じますか? その質問にいつからNOと答えるようになっただろう。 第一、二十歳になってもサンタを信じる方が可笑しい話だ。 夢はいつか覚めるものだから。 「…寒い。」 柊隼人は息を吐きながら、イルミネーションが彩る街を歩いている。 この季節は、冬の寒さとクリスマスムードが重なって、街は盛り上がっている。 この季節、というかクリスマスが彼は苦手だった。 よってクリスマスにはあまり良い思い出がない。 だが、俺は出会ってしまった。 クリスマス・イブの夜に。 これが偶然なのか必然なのか分からない。 でも、始まりはいつも突然だ。 だが、今回の始まりはあまりに突然すぎた。 突然すぎて、自分でも未だに信じられない。 誰も恋をする相手が、お伽話の住人なんて信じる筈がない。 それを信じる純粋な奴が一人でも居るなら聞いてやりたい。 『貴方はサンタクロースに恋をしたことがありますか?』
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