時間の中で

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俺は嘘だと信じたかった。 「冗談だよな?そんなことあるわけ『あるんだよね~、それが』 葵は俺の言葉を遮る。 「ひぃくんは、あたしが嘘言うと思う?」 嘘じゃないと言うかのように、葵は真っ直ぐな瞳で俺に訴える。 「思わないけど、そんな話簡単に信じる奴居ないよ」 「まぁ、そうかもね。ひぃくんは信じてくれると思ったんだけどな……」 「そういえば葵、何で突然居なくなったんだよ?」 「あれ?もしかして、あたしが居なくなって悲しかった?」 「そ、そんなこと言ってないだろ!」 「まぁいいや。えっと、今までのことを説明すると……」 話が長いから以下省略。 聞いた話を要約しよう。 葵の両親がサンタクロースで、小学校入学直前にそのことを葵に教えられたらしい。 そして葵はサンタになるための学校に入り、一年前に卒業しサンタクロースになったばかりだった。 「そういうこと!分かった?」 「…ああ。話がメルヘン過ぎてまだ整理できてないけど」 「良いよ、今日一日かけて思い出させてあげるから」 「はっ?」 「だ~か~ら、今日はひぃくんと一緒に居るってこと!さっ、ひぃくんの家連れてって」 「無理だって、そんなの突然すぎるし」 「でもあたし、ひぃくん以外に頼れる人居ないし。今日だけ、お願い!」 葵のお願いに俺が勝てる筈が無かった。 こうして サンタと過ごす不思議なクリスマスが始まった。
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