0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は嘘だと信じたかった。
「冗談だよな?そんなことあるわけ『あるんだよね~、それが』
葵は俺の言葉を遮る。
「ひぃくんは、あたしが嘘言うと思う?」
嘘じゃないと言うかのように、葵は真っ直ぐな瞳で俺に訴える。
「思わないけど、そんな話簡単に信じる奴居ないよ」
「まぁ、そうかもね。ひぃくんは信じてくれると思ったんだけどな……」
「そういえば葵、何で突然居なくなったんだよ?」
「あれ?もしかして、あたしが居なくなって悲しかった?」
「そ、そんなこと言ってないだろ!」
「まぁいいや。えっと、今までのことを説明すると……」
話が長いから以下省略。
聞いた話を要約しよう。
葵の両親がサンタクロースで、小学校入学直前にそのことを葵に教えられたらしい。
そして葵はサンタになるための学校に入り、一年前に卒業しサンタクロースになったばかりだった。
「そういうこと!分かった?」
「…ああ。話がメルヘン過ぎてまだ整理できてないけど」
「良いよ、今日一日かけて思い出させてあげるから」
「はっ?」
「だ~か~ら、今日はひぃくんと一緒に居るってこと!さっ、ひぃくんの家連れてって」
「無理だって、そんなの突然すぎるし」
「でもあたし、ひぃくん以外に頼れる人居ないし。今日だけ、お願い!」
葵のお願いに俺が勝てる筈が無かった。
こうして
サンタと過ごす不思議なクリスマスが始まった。
最初のコメントを投稿しよう!