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老人とクリストフ
クリストフは意識を取り戻した。
体は痛みを通りこしていた。
あちこち傷だらけで、自分でも信じられないくらいの重症だ。
しかし体は普通に動く。
クリストフはヨロヨロと立ち上がると、川に沿って歩き始めた。
何故、あの村人達はアントニオを暴君王と言ったのだ?
あの子はまだ10才にも満たないのだぞ。
クリストフは体を引きずるように、考えながら歩いた。
しばらくすると、川のほとりに馬車があるのを見つけた。
老人が水を汲んでいるところだった。
クリストフは腹を決めて、おそるおそる話かけた。
『お前…どこから来たのだ?』
老人はクリストフを見ると、驚き叫んだ。
『な…なんと!?…そんな酷い姿で……お前さんの方こそどうしたんじゃ!?こっちに来んなさいな!!』
老人は荷馬車にあった自分の着替えを出すと、クリストフに与えた。
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