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クリストフは馬車で通った表通りを歩いて城へ向かった。
しかし住民達はどこか青白い顔をしてマントを深めに被っていたりしていた。
逆に警備兵達は、大声を出して喚き散らし、また住民を脅してるような振る舞いをしていた。
クリストフはなるべく目立たないように、壁つたいに歩いた。
クリストフは思い出した。
以前【ベルナット】という街で評判の若い料理人を宮廷に何度か呼び出し、自慢の【パエリヤ】を作らせた事があった。
私の舌をうならせ、殊勲を与えたりもしていて親身にしてやった!
そうだ、生きているならまだ40才位、私の顔は覚えているはず!
クリストフに少しだけ希望が見えてきた。
『もし、すまないがベルナットの店を知らないか?』
自然とクリストフは丁寧に住民に聞いて回った。
少しずつではあるが、自分が王ではない、というのが身にしみてきたのもあるが、【平民のフリ】をする、そう考えれば容易いと考えたのだ。
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