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そう言って、おじさんは僕が盗もうとしたプラモデルを差し出した。
「これはお店を綺麗にしてくれたお礼だ。持って帰りなさい。」
お母さんは慌て、
「いえ!とんでもない!うちの子が馬鹿な事したのに…」
おじさんはこう答えた。
「この子は、ちゃんと働きました。その対価は受け取る権利がある。」
そう言って、僕の頭を撫でた。
「せめて、代金は払わせて下さい。」
そう言って、お母さんは財布を取り出し、代金を払おうとするが、おじさんは頑として受け取らない。
「お母さん。確かにこの子がやろうとしたのはいけない事です。しかし、ちゃんと働いた者に報酬を払わなければならない。それは世の中の道理です。」
何かを欲するならば、対価を払わなければならない。
僕は、小さいながらに教わった。
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