聖なる夜

5/20
前へ
/20ページ
次へ
  サンタクロースの格好をして、大きな看板を持ちながら笑顔を振り撒いている女の子。   どうしようかな…… やっぱり帰ろうかな…… それとも話だけでも聞いてみようか。   僕は手に持った広告を見つめた。まず『サンタクロースの助手』ってのは何をすればいいのか分からない。  そもそもこれは何なのかも分からない。   一番可能性が高いのは何らかの詐偽とか、ただの悪戯だっていうオチ。   ていうかそれ以外考えられないだろ。   そうだよな、やっぱり帰ろう。   僕がそう思い振り返ろうとした瞬間……     「あーっ、それ私の作った広告じゃん!! それ見て来てくれたの?」 サンタクロースの格好をした女の子に見つかってしまった。     「じゃあ立ち話もなんだしちょっとこっち来てよ!」     「あの、僕は違っ……」     女の子は無理矢理、僕の腕を掴むと一つの建物へと連れていった。   ま、まさか、そこには怖いお兄さんたちが一杯いるのでは!?   僕は自分の人生の終わりを感じ、興味本意でここまで来てしまったことを後悔していた。   ……へ?   でも、ここってアパート……だよな?   そこは僕の暮らすアパートよりも少しだけ立派なアパートだった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加