第二章

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「あれ……?」  真琴は特急電車の明かりに眩んでぎゅっと閉じていた目を、ゆっくりと見開いた。    想像していた痛みも衝撃も全く感じられない事を不思議に思うまでに、数十秒しか経っていない。  開いた目に映ったものは……暗闇だった。しかし、それはあの山間の闇夜ではない……。    急に耳鳴りがした後で驚くべき音が聞こえ出した。  様々な電化製品から醸し出される微かな響きが耳に届いた。  次に真琴は柔らかな布団の感触が自分の体を包み込んでいるのに驚く。  そして自分がいつの間にか横になっているのにも気付いた。  ゆっくりと頭を起こしてみる。暗闇に目が慣れてきた。   「え……なんで?」  混乱した頭を振りかぶり身を起こすと、そこが見覚えのある場所だとわかった。  立ち上がろうと床に足を下ろすと、いつもの様にサイドテーブルに足をぶつける。    私の……部屋?!    あの吹きすさぶ寒風のリアルな感触が、まだ肌にも髪にも残っているというのに。 「……夢だったのよね?」  ドキドキしながら慣れた感覚で壁までたどり着き、電気のスイッチを入れた。
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