プレゼント1

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あぁ、ダメだ………。 この辺で犬が隠れそうな場所はほとんど探した気がするけど………こんなに暗くちゃ効率が悪すぎる。 駆は家を飛び出してから近辺を隈なく探し回っていた。 しかし、既に夜中な為にレオナルドの名前を叫ぶ事も勝手に他人の家の庭に侵入するわけにもいかない。 捜す側にはこの上無く分が悪過ぎる状況だ。 「仕方ない。朝早く……いや、朝日が出ると同時に捜索再開だな。 それでも見つからなかったら……正直に叔母さんに話して…………死を受け入れよう」 現在繋がりのある唯一の親戚に虐殺される―――― そう本気で心配する状況下に置かれた高校生は日本広しと言えど数少ないのではないだろうか。 まったく日本も物騒になったものである。 駆は何か諦めた様なドンヨリした顔と普段の数倍の重力を背負って自宅の玄関に立った。
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