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突然、犬が餌を食べるのをピタリとやめた。
そして耳を動かし、在らぬ方向を向いて吠え始めると同時に猛スピードで走って行った。
「え、ワンちゃん待って!
一人にされると凄い居づらいから待って!」
佑奈はソファーから飛び上がると急いで犬を追いかけた。
「どうしちゃったんだろ。
………トイレ?」
居心地の良い環境で体を休め、幾らか回復した佑奈は走る犬に離される事なく着いていける程に速かった。
だが残念ながら頭の方は悪かった。
薄暗く長い廊下を迷う事なく駆け抜ける一匹の犬と一人の少女。
ドッグランの大会に出たら優勝するんじゃないかという勢いである。
犬は一向にスピードを緩めずに走ったが、屋敷の端―――玄関と馬鹿デカい扉の前に到着すると急停止した。
それに続いて佑奈がやってきた。
玄関マットの上で尻尾を振っている犬に駆け寄り抱き上げる。
「どうしたの?いきなり」
佑奈は息を切らしながら腕の中の犬に話しかけた。
「ワン!」
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