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「レオナルド~、ご飯用意するから一人で遊んでてね」
僕はレオナルド…ダックスフントを静かに床に下ろし、キッチンへ向かった。
レオナルドは叔母の犬だが、今日一日だけ僕が預かる事になっている。
いや、半ば強制なんだけどさ。
―今日の朝―
冴木令(叔母です)が家にズカズカと入り込んで来た。
ノックも無しにバタンと部屋のドアを開ける。
「少年!悪いがレオナルドを預かってくれ!」
「叔母さん!?」
上半身裸である着替え途中の僕を見ても少しも気にしない。
「用事がある、レオナルドを預かってくれ!」
「ちょっと! レオナルドって何!?」
僕は急いでトレーナーを着た。
「それにどうやって入って来たのさ!鍵閉まってたでしょ?」
「鍵?そんなもの5秒で開けられるわ! それよりレオナルドだ!」
令はどこからか可愛らしいダックスフントを取り出すと駆にグイと押し付けた。
「犬ですか……レオナルド?」
「無論、某映画スターからだ」
令はフンと鼻を鳴らし、自慢の赤茶色の髪を掻き上げた。
スラリとしたモデル並のプロポーション、整った顔立ち
街を歩けばすれ違う男の大半が振り向く程の美人だ。
……破天荒な性格さえ直れば完璧なのに。
「少年……帰ったら死刑だ」
テレパシー!?
「とりあえず、ダックス…レオナルドは預かってもいいけど。
用事って何? 旅行か何か?」
「仕事だ!私は忙しいのだよ」
鞄からコーヒーを取り出し一気に飲み干す令。
母の妹なのだが……全然母に似ていない。
ちなみに僕の両親は五年前に亡くなった。
叔母さんが教えてくれたが、自動車事故のようだ。
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