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―笹神佑奈―
「あぁ~~、どうしよう!」
佑奈は公園のベンチで俯いていた。
真冬の夜、コートも着ないで来たのは辛かった。
「まさか……まさか借金取りが来るとは……」
佑奈は一人暮らしをしていた。
失踪した親が残した借金を地道に返しながらの生活だった。
しかし今日、とうとうアパートを追い出されたのだ。
厳密に言えば………いや、あまりにリアル過ぎて書けない。
「とにかく、しばらくは隠れなきゃ……」
佑奈が顔を上げた時、冷たい物が頬に触れた。
「………雪……降って来ちゃった」
日も暮れて真っ暗になった公園には佑奈以外には誰もいなかった。
「うぅ……」
佑奈の目から自然と涙が零れる。
「寒いよ……」
その時、公園へ一匹の犬が来た。
「ワンワンワン!」
そして佑奈を見つけると一直線にトコトコと走って来た。
「ワンワンワンワン!」
「ダックスフント? どっかから逃げて来たのかな……」
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