プレゼント1

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「ほぇ~!広いやぁ~」 佑奈は結局、屋敷の中に入っていた。 壁に下がった埃っぽいランプの灯りを頼りに薄暗く長い廊下を道なりに歩くこと5分。 他とは雰囲気の違う扉をこっそりと開け、一つの部屋にたどり着いた。 「………暖かい」 暖房が効いていて居心地がよく、テーブルには夕飯の物と思われるパスタやサラダが置いてあった。 だが全く手を付けた形跡はない。 「あ、いた!」 そのテーブルの下で先程の犬がドッグフードと細かく切られた肉を食べていた。 「やっぱりこの家の犬なんだね君は~。 ………それにしても全然人がいないや」 佑奈はずっと屋敷の住人を探しているのだが一向に人に出会わない。 まったく、実に神経の太い娘である。 「空き家ではないみたいなんだけどなぁ」 佑奈は疲れ果て、近くのソファーに腰掛けた。
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