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手の温度で溶けないように、垣根の葉を千切ってそのまま弟の部屋へ戻る。
僕はそれを弟の顔の前まで運んだ。薄く笑って、弟は舌でそれを舐めた。
「冷たくて気持ちいい。お兄ちゃん。ありがとう」
そう言うと弟は静かに目を閉じた。それきり目を覚ますことはなかった。
父も母も祖母も、壊れるんじゃないかってくらいに泣いていた。けれども僕は泣いていない。
だって、僕は知っているのだ。この人達はまた近いうちに、同じ悲しみで泣く事を。僕も弟と同じ病に侵されているって事を。
僕は一体、誰と雪を取ってきてもらう約束を交わすのだろう。
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