末期の雪を弟に

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 ふと、弟が僕の目を見た。透き通るように清い、けれども深い色。  弟の唇が何かを綴る。僕はその声を聞き取ることが出来なくて、顔を近付けて聞き返した。 「僕が死ぬときにね、お兄ちゃん、雪を取ってきてくれる」  か細い声で、弟はぽつりと吐いた。泣いているのだろうかと思ったが、弟は笑っていた。 「約束ね。お兄ちゃん、絶対だよ。約束、ね」 「ばか。この辺で雪なんか、そうそう降らないぞ」 「知ってる。だから僕、雪が降るまでは、頑張って生きるよ」
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