末期の雪を弟に

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 仰向けに寝転がり、そのハンカチを顔の上にかける。胸の前で、手も組んでみる。  弟はもうすぐ、こうやってあの部屋に寝かされるのだろう。涙がハンカチに滲んだ。  僕はそのまま眠りについた。次の日、目が覚めると、階下がやけに騒がしい。  ふと横を見ると、寝ている間に落ちたのか、ハンカチがくしゃくしゃになっていた。  窓の方を見ると、ちらちらと、白いものが見えた。まさか。そう思って窓を開けると、それはやはり雪だった。  慌てて階段を降りる。音を気にしている余裕など無かった。弟の部屋の襖は開いていた。
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