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中に入る。母と父、祖母が弟の蒲団を囲んでいる。僕はそろそろと弟の顔を覗き込んだ。
目は開いている。しっかりと、僕の目を、透き通る目で見ている。
「お兄ちゃん。雪、降ってるんだよね」
弟の部屋からは外は見えない。何故知っているのだろう。誰かが話したのだろうか。
僕の手を、弟はそっと掴んだ。力無い指先は震えていて、冷たい。
そして笑いながら、弟はあの台詞を言ったのだ。
「雪、取ってきて」
僕はすぐに庭に出た。裸足のままで。積もるほども降っていなかったけれど、垣根の上に、少しだけ固まりがあった。
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