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ドアを開けると、いつもの宅配の兄ちゃんが立っていた。
「いつもありがとうございます。注文の品全部で五品ですね。ありがとうございます。ん?」
宅配の兄ちゃんは、部屋の中で座っているユメを見てニヤニヤした。
「牛山さん、彼女ですか?この色男が!」
まさか愛玩具です…などとは言えない。
「いやぁバレちゃったか~あはは」
牛山の顔が夕焼けのように真っ赤に染まった。
「それじゃまたお願いします」
そう言って、宅配の兄ちゃんは頭を下げて出て行った。代金は口座からの引き落としだから楽なもんだ。
彼女という響き。さすがにいい響きだ。朝から気分がいい。
「ユメ、ご飯が届いたよ~。一緒に食べようか」
そうなんです。愛玩具はご飯を食べられるのです。ここが凄いところ。説明書によると、やがては料理も作れるようになるとのこと。
「さぁ食べようか!」
誰かと一緒にご飯を食べるのなんてどれくらいぶりだろうか。
その日の朝にユメと一緒に食べたいつもと同じメニューは、なんだかおいしくて涙が溢れそうになった。
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